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森田雄三の演劇ワークショップ神戸のフツーの人たち公演『どケチのど愛』に参加して③

演じる 体験記

そういえば、今回のワークショップに参加したら、前回のワークショップに参加していた人に「葉月ちゃん、怒って泣いてたもんなあ」と言われたので驚いたのだけど、前回のワークショップの終わりに涙が止まらなくなったのは、怒ってたからでは全くない。そのことは、このブログの過去記事を読んでもらえばわかることなのだけど、私のことをそう思っていた人は、これを読んでいないのだろうし、あの時の私がその人にはそう見えていたということなだけなので「怒ってないっすよ」というだけだった。それでも「怒ってたやん、泣いてたやん」と言われたので、もうその人にとってはそれが事実なのだろうからそれ以上訂正しなかった。

こういう誤解のされ方をした時に、まあいーや、と面倒がってしまうようになっている自分がいるなあと思う。若い頃は、理解して欲しくて、食いさがったりしていたけど、理解して欲しい人にはしてもらっていると思っているので全員にそう求めることはなくなった。

でも、ちょっとモヤっとする。

もう一つそういうことがあった。

居酒屋でウーロン茶しか飲まない山下さんを見て「意外」と言ったらサラッと「人は見かけじゃないです」って言われて、とっさに何も言えなくなって黙った。私くらいの年齢で人を見かけで判断しまくってたとしたら、相当やばいと思う。そうじゃなくて、私は山下さんが「むかし相当ワルだった」と聞いていたので酒タバコくらいは当然やっていると思っていたのだ。まあこれも偏見っちゃあ偏見だけど。

でも、人を見た目で判断していたわけではない。中学生の時、ワルぶっている先輩たちのステキなところを見つけて愛でたりしていたくらいだから、筋金入りの、見た目で判断しないようにしている人だ。自分で言うのもなんだけど、そこにはちょっと自信がある。というより、見た目には現れにくいようなその人の芯に輝く部分を見出そうとする変態なのでというかそういう自分ではどうしようもないくらいの癖があったので、逆にそのせいで、困ったこともたくさん起きた。

そんななので、一瞬で起きるそういう誤解を解くにはたくさんしゃべらなくちゃいけないから、面倒で黙ってしまったのだった。

 

基本的に、人は、自分の見たいものを世界に見ている。

 

もしかしたら、これらの出来事だって「私の本当のことは誰にも理解されない。理解されることは困難だ」と私がどこかで思い込んでいるから起きてしまっている出来事なのかもしれないし。そこは検証してみないとわからないけれど、自分の中に種があると自覚するだけで、誰かや何かのせいにすることはなくなる。

 

さて、本題に戻る。

22日金曜日、できれば震災時の衣装を各自で用意して持ってきて、と言われていたので大きめのリュックに祖母にもらった半纏や暖かい靴下、マフラー、ニット帽、水筒、サンダル、を放り込み電車に乗り込んだ。すると、途中で携帯から今まで聞いたことのないような音がビービー鳴った。緊急地震速報だった。鳥取震度6くらい、結構各地が大きく揺れた。電車は何事もなく走っていて普通に揺れていたので気付かなかったけれど、滅多に揺れない京都も大きめに揺れたと友人たちがザワついていたようだった。地震で揺れるには、この日の私はふさわしすぎて、ちょっとドキッとした。まるでそのために準備してきたかのようなグッズが全て揃っている。携帯の充電もポケットWiFiの充電もノートPCの充電も全て満タンだし。鳥取に越した友人にメールして、このまま被災したりしませんようにと思いながら電車に揺られた2時間半。

 

今日は着いたら、もう明日の本番の舞台裏での稽古だった。

 

どこにどのシーンを持っていくのか、組み合わせるのかを、やりながら決めていく。

あーた、へたっぴなのに、はじめにに出てくるのよね〜、やめろとは言ってないよ、と言われ、ちょっと間をおくことにした。

別に自信があるからとか前に前に出ようとして、はじめに出て行っていたわけではない。

なかなか最初って出にくいものかな、と思ってちょっと頑張って勇気を出してはじめに出て行ってたのだけど、そういう「力み」すら不要ってことなのだ。これは頑張っちゃう自分の癖。頑張らなくっていい。そのままでいい。不必要な「力み」は歪みを生む。

 

自分が言うセリフは自分の中から出てきたもの

まだ説明しようとしてしまう私がいた

 

山下さんから出てきた、言葉やその語順を、尊重してみてほしいと清子さんが稽古のおしまいに言う。

 

じゃあそれぞれで選んでそのセリフを言うことにしてみよう

と各自で選んだ言葉と順番を覚えてくることに

 

帰り道、ずっと暗唱した。

関西弁育ちではない私に、その言葉をどう発したらいいのか

何度も何度も口に出してみる。

笑ってしまうほどの悲惨さを前に、本当に笑ってしまうために言う

自分がいいなと思って選んだセリフ、自分が覚えるのには、長かった。

覚えても覚えても、何か違うな、って自分でも思う。

でも何をどうしたら良くなるのかも、全然、わからなくて

とにかくいろんな言い方で口に出してみた。

わりと大きな声で、夜中に、誰もいない帰り道を、自転車に乗って

ずーっとセリフを繰り返していたら

猛スピードでチャリが追いかけてきて

「気持ち悪いんじゃ!!ボケ!!アホ!!キチガイが!気持ち悪っ!!」

と怒鳴りながら、私を猛ダッシュで抜いて叫びながら、走って行った。

あなたのその急にキレる振る舞いの方が、よっぽど狂ってるよ、と思いながら静かに自転車をこいだ。

 

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