不思議うまれ人間そだち

林 葉月が見た世界、描き記す絵と言葉

森田雄三さんおわかれフェスティバル

11/1(木)

10/29の明け方に森田雄三さんが亡くなったとの知らせを受けて、東京へ向かう。

最初は、節約しようと思って午前中発の高速バスで向かうつもりでいたけれどおわかれフェスティバルに間に合わないかもしれないので

新幹線で行くことにした。なんだかんだ遅くなって品川から乗り換えて上野毛で降り、15分くらい歩くと夜の7時過ぎに世田谷の「楽ちん堂カフェ」に着いた。

ガヤガヤと人が喋りながら出入りしている。

行こう行こうと思っていたのに、機会を逃してしまって、初めての楽ちん堂カフェになってしまった。

着いて、受付でWSでお会いした方とことばを交わすうちに、せっかく来るなら生きている時に来れたらよかったのに、という気持ちが湧いてきてしまって

涙が溢れてきた。

雄三さんに話してあげてって言われて、棺桶に入った雄三さんに近づく。

ぺたーっとした質感の顔になっていて、つい目を背けてしまう。

綺麗だった。だけど、知っている雄三さんのどの感じでもなくて、見ても見ても、目が勝手に違うところを見てしまう。

雄三さん、本当に、もう、この体の中にいないんだ。

綺麗な顔で、静かに横たわってる。

確かめたくて、頬を触ってみる。冷たくて少し硬い。

雄三さんは、どこに行ってしまったんだろう。

あの人懐こい笑顔の。

何度も、目がウロウロしては、やっと、顔をしっかり見ることができるようになるまでに

涙が何回かこぼれた。

綺麗。だけどぺたーっとしている。

花をもらってきて、棺桶に入れた。

たくさんの花が雄三さんの周りに集まっている。

棺桶には子ども達や大人の姿をした子ども達が描いた絵や文字が沢山わちゃわちゃしていて賑やかだ。

実際、大人の姿をした子どもの人や、子どもの姿の子ども達が、食べたり飲んだりしゃべったりして周りにいた。

アンケートを書いた。

私が出会ったのは2016年の神戸のWSだった。

初めての場所、初めての人たちの中に入っていくことは、緊張する。

車椅子で「おう」とカブックに入ってきて喋り始めた雄三さんを少し離れたところで見ていた。

雄三さんは参加者が来ると、まず前に出して、黙って座って、とだけ言う。

そうすると、座っている人からたちのぼるその人の背負っているものみたいな感じが

じんわり現れてきたりする。それをサッとすくい取って言葉にする。

その鮮やかさに、私は釘付けになった。そして、なんて恐ろしいことをしているのか、とも思った。

何も隠せない。人の纏っているその人の生き具合を、ペロンと剝ぐ。

衝撃だった。

道中よりもさらに緊張していた。だけど、緊張は緊張のまま自分でいることは割と大丈夫だなと自分で思った。

次、自分の番。はい、あなた、初めて?はい、出てみて。

まっすぐ前を向いて、ただただ座っていた。怖いけど、怖くない、これが私だから大丈夫。

雄三さんは言った

「見て、綺麗でしょう。なんか知らないけど、太った人だなあ、と思ったけど、すうっと。ほら。俗世間がもう関係ない人ね。ほら」

私は、驚いた。

そもそも、人前に出て「綺麗」だなんて誰からも言われたことがなかった。

そうです、俗世間に興味がないです。どうしてわかるんだろう?という気持ちと、やっとわかってもらえる人に会えたという気持ちと混じって

素直に嬉しかったし、衝撃的だった。

 


そんなことを思い出しながら、アンケートを書いた。

山下さんや山下さんに誘われてきた人たちが、何か食べながら雄三さんのスライドショーを見て息子の善さんたちと話したりしている。

かおりさんは、来る人たち全員に声をかけて回っている。

 


私が唯一出演した「守銭奴」の時のマリー役をやったかじぱんと会って、少し話をした。

東京に引っ越して働きながら暮らしている彼女は、前に会った時よりも元気そうだし生き生きしていた。

 


温かい鍋を囲みながら、辛いだの美味しいだの言いながら隣の部屋に雄三さんを見に行ったりして

遅くまで居続けてしまった。

私は、その場にいる誰よりも多分、雄三さんと過ごした時間が短くて交わした言葉は少ないと思う。

いや、会ったことのない人も来ていたから、そんなこともないか。

 


「いーじゃん、細かいこというなよぉ」

 


って、雄三さんなら言うだろうか。

 


「あーた、バカでしょ。何にも考えてないんだから。頭ん中からっぽ。」

 


って、また笑って欲しい。

 


目の前にいる、ペターっとした質感の雄三さんを見ながら、棺桶に肘をついて何人もが酒を飲む。

時々、涙ぐんだりしながら、いろんな人が来て棺桶を囲んで話す。棺桶の死体を囲んで写真を撮る。

子どもたちが棺桶に絵を描く。

 


みんなが囲んでるのは、

死体なんだけど、雄三さんだから

こんな感じなんだ。

なんだか楽しい。

 


スライドショーに流れてる写真は

いつかのどこかの演劇公演やワークショップの写真。

 


目の前で笑う息子さんたちの顔の中で

雄三さんと清子さんの顔が混じって見える。

そして少し、安心する。

 


誰と話し込むわけでもないけれど

立ち去りがたくて

ずっと居てしまった。

 


明日の焼き場まで

どうしても見送りたくて

図々しくも

清子さんに申し出たら

もちろん、いーよ、おいでー

と言ってくれたので

見送らせてもらうことにした。

 


アンセが山下さん達を車で送るというので

便乗して駅まで送ってもらった。

 


来たことのない駅から電車乗り継いで、よく知っている吉祥寺駅まで行き

かつて働いていた頃のことを思い出しながらアーケードを歩き

住宅街を歩き

友達の家に着いた。

 


仔犬だった犬2匹がワンワン吠えて

友達が起きてきてハグをして

少し喋って眠った。

 

 

 

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